シチリア王国の遺構、12世紀の教会で最新アートを体感
シチリア王国の遺構、12世紀の教会で最新アートを体感
30/05/2014
イタリアは言わずと知れた芸術の国。ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ……、いつかは見たい世界遺産の芸術作品から、最旬アートまで、常にどこかで何かしら、興味深いアートイベントが日常的に開催されており、感性が磨かれるチャンスが多いものです。
ここパレルモも、活発なアート・ムーブメントが起こるイタリア有数の街。日本ではあまり知られていませんが、歴史を紐解けば、きっと「なるほど」とうなずけるはず。
シチリアは地中海の中心にあり、長い歴史のなかで異文化交流が盛んに行われてきたところ。古代ギリシャ芸術に始まり、ノルマン王国の支配時代には12世紀ルネッサンスと呼ばれるアラブ・ノルマンの融合芸術が生まれ、17世紀にはシチリアン・バロックが開花。イタリアに本格的な油彩技法を伝えたアントネッロ・ダ・メッシーナ、明治政府に招聘され日本に西洋美術を伝えたヴィンチェンツォ・ラグーザ、アールヌーヴォーの父である名匠エルネスト・バジーレなど、イタリア芸術の歴史に重要な人物も多く輩出。なかなかアバンギャルドなアートシーンを展開してきた土地柄なのです。(肖像画制作)
というわけで今回は、そんなパレルモで2014年3月から絶賛開催中の最新アートイベント「ミラージュ(蜃気楼)」のご紹介です。ミラージュは、アントネッロ・ダ・メッシーナの「受胎告知のマリア」を所蔵するシチリア州立美術館が主催する展覧会で、12世紀建造の戴冠礼拝堂を舞台に、歴史的建造物×最新アートの世界を堪能できるというもの。
昨年のベネチア映画祭で絶賛されたドキュメンタリー映画監督サルヴォ・クッチャ氏のビデオ・インスタレーション「ミラージュ・ルーム」からスタートし、続いて4月からは、世界で最初にQRコードを組み込んだ油絵を発表した「デジタル絵画」の第一人者ファブリス・デ・ノーラ氏にバトンタッチ。QRコードやARを駆使した「情報と芸術性の融合」がイタリア各誌で話題となりました。(モネ油絵複製画)