モデルの母子はカミーユとジャン。白い衣装は逆光で青緑色に見える。日傘の内側も緑。自然の中の光と色を効果的に表現した作品。
散歩、日傘をさす女性
アーティスト:クロード・モネ
ヴェールによって遮蔽されるおぼろげな妻カミーユの表情。日傘を手に観る者と視線を交わすカミーユの顔は、自然風の中でなびくヴェールによって遮蔽されている。この面紗(ヴェールの意)の自然的な運動による瞬間的な印象性を描き出すことによって、草原に立つ女性を観る者は面影として捉えるため、強く心象に残り、かつ神秘的にすら感じるのである。
日傘をさす女性に寄り添う幼児は妻カミーユとの間に生まれた長男ジャンをモデルに描かれた。第二回印象派展に出典された本作は、画家が当時滞在していたアルジャントゥイユの草原に立ち日傘をさす女性と幼児を描いたもので、妻カミーユ・ドンシューと長男ジャン(当時5歳)をモデルに制作されている。
爽やかで心地よい感覚を観る者に与える色彩。画面の大部分を構成する青色、白色、緑色、黄色などの色彩は、自然と触れ合うことによって感じる爽やかで心地よい感覚を観る者に与えるのである。