世界最高齢で死んだ「ツガル」 日本画「追悼展」
世界最高齢で死んだ「ツガル」 日本画「追悼展」

世界最高齢で死んだ「ツガル」 日本画「追悼展」

16/06/2014
世界最高齢とされ、惜しまれながら先月死んだ横浜市立野毛山動物園(同市西区)のフタコブラクダ「ツガル」。その姿を描き続けてきた日本画家がいる。戸塚区在住の勝山治実さん(51)。衰えた体をさらすツガルのありのままを見せることで、老いることの尊さを表現しようとしてきた。くしくも「追悼展」となった「勝山治実展~ツガルさんづくし~」が7月21日から、中区の画廊楽2で開かれる。【鈴木加代子】
【生前のツガル】
 ◇横浜で来月21日から
 ゆがんだ顔、口元から垂れる唾液……。キャンバスに描かれたツガルは、「老い」の現実を容赦なく突き付けてくる。(ウィーン分離派)
 市立高校で美術の非常勤講師を務める勝山さんが、ツガルと出会ったのは3年前。立ち上がろうとしてもなかなか立てない。それでも体をもたげ、来園者に元気な姿を見せる。年を重ねた動物の醸し出す「高貴さ」に引かれ、十数年前から作品のテーマにしてきた勝山さんにとって、晩年を迎えたツガルは得難いモデルだった。
 同情を誘わないよう、正面の顔ばかり描き、作品は20枚を超えた。今年に入って初めて「ツガルのすべてを残そう」と、100号の大きな麻紙に全身像を描き始めたところだった。
 最後に姿を見たのは、死の3日前だ。食欲もあり、いつもと変わらず元気そうに見えた。記憶を頼りに、作品の仕上げに取りかかる。「多くの人の心にあるツガルさん。死は残念だけれど、絵の中にその存在感を感じてもらえれば」。展覧会は27日まで。午前11時~午後6時(最終日同4時)。

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