米中央情報局(CIA)が、2011年に殺害された国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)最高指導者ウサマ·ビンラディン(Osama Bin Laden)容疑者のアクションフィギュア製造を検討していたことがこのほど分かった。同容疑者が正義のヒーローではなく、恐ろしい悪人であることを、外国の子供たちに知ってもらうことを目的とし、人形は邪悪な目をした悪魔に変身するものだったという。
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米紙ワシントン·ポスト(Washington Post)の報道によると、ビンラディン容疑者のフィギュアは全長約30センチで、顔の表面が熱で溶ける素材でコーティングされていた。熱によって表面がはがれると、その下からは、赤い顔と恐ろしい緑の目、黒いフェースペイントが施された「悪魔」のような形相の同容疑者の顔が現れるという。
「悪魔の目(Devil Eyes)」と銘打たれた2005年の心理作戦では、CIAは米玩具大手ハスブロ(Hasbro)の元重役、ドナルド·レビーン(Donald Levine)氏の助言を仰ぎ、同氏は中国でのフィギュア製造の道を模索したという。
CIAによると、試作品3種が作られた直後に計画の中止が決まったという。
CIAの報道官はAFPに対し、「アクションフィギュアについてのアイデアが提案されたが、試作品の段階で却下された」と述べ、「われわれの知る限り、作られたフィギュアは3種のみで、それらは完成品のイメージをつかむためのものに過ぎなかった」と説明した。
CIAはこのフィギュアが製造·販売されてはおらず、「他者が製造·販売したという情報も得ていない」としているが、ワシントン·ポストはこの計画をよく知る匿名の情報筋の話として、このフィギュアの試作品数百体が2006年に中国で製造され、パキスタン南部カラチ(Karachi)に発送されたと報じている。(
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■GIジョーフィギュア制作者に依頼
ハスブロの元重役であるレビーン氏は、1960年代に製造が始まったベストセラー商品「GIジョー(GI Joe)」フィギュアの開発に関わり、名声を得た。
レビーン氏は5月に86歳で死去している。この計画について質問された同氏の家族は、「ドン·レビーンは献身的な愛国主義者で、朝鮮戦争(Korean War)の退役軍人であることを誇りにしていた。(ビンラディンフィギュアに関して)助言を求められた時には、祖国の役に立てることを光栄に思っていた」とワシントン·ポストに語った。
同紙によると、「悪魔の目」は、南アジア地域の同盟国との友好関係向上のため、その国の子供たちに玩具や学用品などの物資を提供する計画の一環として行われていたという。
CIAは長きにわたり、敵対する相手へのゆさぶりと自国に有利となるような宣伝活動のための「影響作戦」を行ってきたが、その成果はまちまちだ。
冷戦時代には、旧ソ連に対抗するため、ラジオ放送のほか、文芸雑誌、コンサートや美術展への融資、さらには気球からビラをまくなどの行為を行っている。(
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