7月末に本部町備瀬に開業した「ホテル オリオン モトブ リゾート&スパ」で、イラストやベッドの形で水族館をイメージした「オーシャンキッズ」ルーム3室が大好評だ。描いたのはやんばるの絵描き·運天肇さん(44)=今帰仁村。色彩豊かに沖縄の原風景を描き続ける運天さんは「子どもたちの笑顔のそばに僕の絵があること、それが理想」と語る。
オーシャンビューの部屋の壁一面に、楽しそうに泳ぐジンベエザメやカクレクマノミ、ウミガメが描かれており、宿泊する子どもたちの笑顔を生み出している。
運天さんは九州産業大学美術学科を卒業。37歳で絵描きを本業とし、絵のスタイルを模索しながら、現在の柔らかで温かみのある沖縄の原風景を描く表現に行き着いた。
キッズルームのきっかけは、運天さんの絵の販売などをサポートする池田進さん(35)が、開業前に売り込んだこと。子連れ客に特化した宿泊室を検討していた経営側が、運天さんの作風を気に入り、とんとん拍子で話がまとまった。(印象派絵画販売)
「アンパンマン」の作者、故やなせたかし氏を尊敬する運天さんが描く、かわいらしいジンベエザメやカクレクマノミに、同ホテルのショップスーパーバイザーの松永壽代さんは「開業前に試泊した客からも予約依頼があり、開業後も予約の問い合わせが多い」と高く評価する。
開業前日の7月25日、運天さんは初めて、完成後のオーシャンキッズルームを訪れた。窓いっぱいに広がる青空の向こうに伊江島が見え、運天さんの描いた生き物は眼前の青い海から飛び出したようだった。
たくさんの子どもたちが宿泊することを想像した運天さんは「僕の絵はうまい方ではないけど、子どもを喜ばせることは得意。子どもたちがこの絵の世界に入り込み、遊び心をかき立てられたらうれしいし、そういう絵を今後も描き続けたい」と笑った。(ウィーン分離派)